宮大工
宮大工になるには
宮大工を抱える工務店に就職する
宮大工は、大工の中でも専門的な技術が必要とされるため、まずは神社や仏閣の建築や改修を手掛ける工務店に就職し、「棟梁」と呼ばれる親方に弟子入りすることが第一歩となります。
ただ、宮大工を抱える工務店はそもそも数が少ないため、自分の望むタイミングで求人情報があるとは限りません。
このため、いきなり宮大工を目指すのではなく、一般の住宅建築を行う工務店に就職し、在来工法を学んだ後に、宮大工としての技術を修得する人もいます。
宮大工の学校・学費
宮大工について専門的に学べる学校もある
宮大工は学歴不問であり、中学校や高校を卒業した後にすぐ工務店に就職する人は数多くいます。
ただ、宮大工に必要な技術や知識を専門的に学習できる学校も存在し、そういったところに進学することも選択肢の一つです。
古い文化財を適切に補修するためには、個々の時代における建築技法についてある程度知っておく必要があるため、専門学校や大学の伝統建築学科では、それらの歴史を体系的に学ぶことができます。
また、宮大工の専門学校に限らず、建築関係の大学や専門学校で基礎的な知識を身に付けることも、将来的に仕事の幅を拡げるために、決して無駄にはならないでしょう。
宮大工の資格・試験の難易度
資格は必要ないが、習得技術は高難度
宮大工に資格などはとくに必要とされず、現場で培った自身の腕前がすべての職人の世界です。
宮大工の代名詞ともいえる木組み工法では、通常のように工場であらかじめ加工された(プレカットといいます)木材を用いるのではなく、現場で木材を切断し、継ぎ手などを削り出します。
このため、在来工法よりも格段に技術の難易度は高く、習得するには数年単位の長い修業が必要です。
また、神社や仏閣の内装・外装には美術品のような装飾を施すケースもよくあるため、手先の器用さや芸術的センスも問われることになるでしょう。
宮大工の給料・年収
給料は腕前に応じ徐々に上がっていく
見習い中の宮大工の給料は、20万円以下になることが多いようです。
経験を重ねることで段階的に昇給し、一人前の宮大工になると年収600万円程度、さらに専門性を持ったベテラン宮大工の中には年収1000万円を超える人もいます。
独立して自分の工務店を構えることも不可能ではなく、そうした場合はさらに高収入を得られるケースもありますが、神社仏閣関係の仕事はどうしても数が限られてきます。
神社や仏閣のみでなく、一般住宅の建築も請け負うなど、幅広い事業を手掛けることが必要になるでしょう。
宮大工のやりがい、楽しさ
歴史ある伝統建築物を守る
全国各地にある神社や仏閣にはいずれも古い歴史があり、ものによっては数百年、あるいは千年以上も前に建築されたものです。
それらが元の姿を留めたまま現代に存在しているのは、時代時代の宮大工がその都度修繕作業を繰り返してきたからに他なりません。
長きにわたって守られてきた伝統建築物を受け継ぎ、次の時代へ引き渡していくという宮大工の役割は非常に尊いものであり、他の職業とは一線を画した大きなやりがいと価値があるといえます。
宮大工のつらいこと、大変なこと
修業期間が長い
宮大工の特徴として、一般的な大工よりも下積み期間が長いことが挙げられます。
木組み工法の難易度もさることながら、宮大工は工具の手入れ状態が仕事の良し悪しに直結するため、カンナやノミなどの研ぎをはじめとして、作業前の下準備にも高度な技術を要します。
このため、まず現場での作業を許されるようになるまでに相応の期間がかかり、さらに現場での工法を一通り会得するまでには、最低でも7年から10年、場合によっては20年かかることもあるようです。
宮大工のつらいこと、大変なこと
修業期間が長い
宮大工の特徴として、一般的な大工よりも下積み期間が長いことが挙げられます。
木組み工法の難易度もさることながら、宮大工は工具の手入れ状態が仕事の良し悪しに直結するため、カンナやノミなどの研ぎをはじめとして、作業前の下準備にも高度な技術を要します。
このため、まず現場での作業を許されるようになるまでに相応の期間がかかり、さらに現場での工法を一通り会得するまでには、最低でも7年から10年、場合によっては20年かかることもあるようです。
宮大工志望動機・目指すきっかけ
伝統文化や歴史に関心のある人が多い
大工を目指す人の多くは、建築やものづくりが好きという人ですが、なかでも宮大工を志望するのは、やはり神社や仏閣などの伝統建築が好きだったり、歴史への興味が強い人です。
何百年も前から連綿と受け継がれてきた技術を継承し、次世代につないでいくという仕事に強い魅力を感じる人も珍しくありません。
また、一般の大工から宮大工を目指す人も少なくありませんが、自分の腕を磨くことに何よりの喜びを見出す、職人気質の強い大工が、宮大工を志す傾向にあります。
宮大工の雇用形態・働き方
女性の宮大工も活躍している
大工仕事の多くは肉体労働であるため、どうしても大工に向いているのは男性ということになってしまいます。
しかし女性ならば絶対に大工になれないかといえばそうでもなく、数十人に一人程度の割合ではありますが、女性の大工もいます。
なかには女性の宮大工もおり、棟梁を任されるケースもあるようです。
一般の大工と比べ、美術的な装飾などを手掛ける機会の多い宮大工は、女性ならではの繊細さが生かされやすいでしょう。
昨今では歴史が好きな女性が増えているともいわれていますが、女性が宮大工を志す場合であっても、活躍するチャンスは十分にあります。
宮大工の求人・就職状況・需要
一般的な求人募集はあまりない
神社や仏閣の建築・修繕需要は、一般建築物と比べてかなり少ないため、宮大工の求人数も限られてきます。
求人誌やハローワークなどに求人情報が掲載されることはきわめてまれで、通常の就職活動で宮大工になることは難しいかもしれません。
しかし、宮大工を抱える工務店のなかには、求人情報を出していなくても、門戸を叩けば志願者を受け入れてくれるところもあります。
インターネットを駆使すれば神社仏閣や城郭を手掛ける工務店を調べることは容易ですので、直接問い合わせてみることも有効な手段といえます。
宮大工の転職状況・未経験採用
転職者のほとんどは大工
宮大工に転職する人は少なからずいますが、その大半は一般建築物の大工としてある程度知識と技術を身に付けた経験者です。
まったくの未経験者から宮大工になりたいなら、まずは在来工法を手掛ける工務店で働き、基礎的な技術を習得してからのほうがよいでしょう。
一般的な工務店であれば、異業界からの転職であっても、また社会人未経験でも、熱意と人柄次第で採用される可能性は十分あります。
ただし、給与面については、前職のキャリアなどは一切加味されませんので、大工としての腕前がゼロの場合、大きく収入が下がることを覚悟しておく必要があります。
宮大工の現状と将来性・今後の見通し
伝統の担い手として宮大工は必要不可欠
宮大工は、一般の大工より数はずっと少ないものの、古くから守られてきた日本の文化財を将来へ残していくために欠かせない存在です。
一人前になるまでには長い時間がかかりますが、確かな技術を身に付けた宮大工の需要は大きく、仕事も比較的安定して続けられるでしょう。
後継者不足や檀家不足によって寺社仏閣は漸減しつつあり、宮大工の需要も僅かずつ減っていますが、宮大工を目指す人の数もまた減少傾向にあるため、活躍できるチャンスはまだまだ残っています。
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